AI生成のポイント
AI GENERATION POINTS
商品開発AI
AIで商品開発を効率化!導入事例とできることを解説
PRODUCT AI DESIGN
「消費者にウケる新商品を開発したい」
「定量調査・定性調査を行う予算が取れない」
そんな商品開発の悩みをテクノロジーが解決するかもしれません。近年、AI(人工知能)を活用した商品開発が、注目されています。本記事では、商品開発でAIを導入する際のポイントや導入事例、実際に商品開発に活用されているAIなどを解説します。
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商品開発にAIを導入。どんなことができる?
テキスト生成AIのChatGPTや画像生成AIのDALL-Eをはじめ、クリエイティブな領域で実用化が話題となっているAIですが、近年では商品開発に活用できるAIツールも普及しています。 その理由は、AIが得意とするデータの収集・分析。商品開発において欠かすことのできないマーケティング活動がAIによって自動化できるようになりました。さらに、大量のデータから消費者にウケる原材料の組み合わせなどが自動で設計できることも企業にとっては大きなメリットに。本章では、AIを活用した商品開発のプロセスを紹介します。
1市場調査・マーケティングリサーチ
AIを活用することで、市場調査・マーケティングリサーチが自動化できます。ツールによっては場所や属性ごとに異なるアンケートを取ることもでき、定量調査・定性調査のコストを抑え、省力化できるでしょう。また、入力された情報からポジショニングマップを作成したり、市場規模などの事業環境をレポート化したりできるサービスも登場しています。
2商品・サービスの設計
市場調査・マーケティングリサーチの結果を活かし、商品・サービスの設計を行います。味・食感のバランスや素材・質感・色の組み合わせなどをAIに学習させることで、ターゲットのニーズに合った組み合わせをスピーディに提案できるでしょう。また、試作品を作らずに画面上で質感を確かめられるサービスもあり、モックアップの作成が簡略化できます。
3ブランディング
ネーミングからロゴマークの開発、パッケージデザイン、POPなど、ターゲットを踏まえたデザインの提案から展開まで、ブランディングに関わる制作活動をAIが補助します。また、データを活用し、ネーミングやデザインがユーザーに与える印象を分析・評価できるため、ブランドイメージの向上や「売れる」パッケージデザインの制作にも役立ちます。
4販促活動
商品のキャッチコピーや説明文をテキスト生成AIがサポートしてくれます。ツールによって、WEBデザインや店頭用POPなどにテキストを反映できるほか、デザインをヒートマップ化することで、「目に留まる」「読まれる」ツールの作成に役立つでしょう。
【参考】“AIが事業環境を自動でレポート化!市場調査サービス『Astrategy』、事業環境レポート機能をリリース(2022.07.29)”Stockmark|
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商品開発AIの導入事例
大手食品メーカーをはじめ、企業が商品開発にAIを導入する事例が増えています。AIの活用は、商品開発の短期化、省力化、コストダウンが実現しているだけでなく、各企業や業界独自の課題解決にも役立っています。本章では、実際にAIを活用して開発された商品の事例を紹介します。
1サッポロビールが新商品開発AI『N-Wing★』を活用
【画像引用】“サッポロビールと日本IBMが RTD商品開発スキームのDX化に向け AIシステム「N-Wing★」を本格実装(2022.11.28)
『N-Wing★』は、過去にサッポロビールが商品化した約170種類の商品から配合バランスや原料、レシピなどのデータを習得しており、新商品のコンセプトや情報を指示するだけで、データをもとに最適な原料の組み合わせや配合バランスを提案します。
『N-Wing★』を活用した新商品の発表は、2023年の夏以降とされています。現時点では同システムの活用によって、人間では思いつかない配合のレシピが誕生しているほか、従来と比較して原料検討時間を約75%、配合検討時間を約50%、試作時の改良時間は約50%削減されているなどの効果があがっているとのことです。
今後サッポロビールは『N-Wing★』を活用して過去のレシピや技術者の知見を一元化し、集めたデータの活用方法を人間が探求することで、人とAIが協調する商品開発のあり方を構築していくとしています。
【画像引用】“サッポロビールと日本IBMが RTD商品開発スキームのDX化に向け AIシステム「N-Wing★」を本格実装(2022.11.28)
2DROBEが独自開発のAIで「売れる」アパレル商品を開発
【画像引用】“パーソナルスタイリングサービスのDROBE 業界初、独自開発のAIを用いて開発した商品の発売を開始(2022.09.08)”DROBE
パーソナルスタイリストサービスを提供する株式会社DROBEは、自社が開発した商品開発AIを導入し、オリジナル商品の開発を実施。
AIが色やサイズ、デザインなどの組み合わせで商品を企画し、ユーザーとのマッチ度から商品の売れ行きを予測してスコア化。スコアが高いアイテムのみを「売れるアイテム」として生産するという、合理的でムダが出にくい商品開発スキームを採用しています。
AIを活用することで必要なものを必要なだけ作るというサステナブルな商品開発を実現。自社のみならず業界全体の課題に解決策を提示した好例と言えるでしょう。
【画像引用】“パーソナルスタイリングサービスのDROBE 業界初、独自開発のAIを用いて開発した商品の発売を開始(2022.09.08)”DROBE
3キリンが『醸造匠 AI』でビールの新商品を開発
【画像引用】”「醸造匠AI」に「レシピ探索機能」を追加し システムの試験運用を開始(2021年8月18日)”KIRIN
キリンホールディングス株式会社と株式会社三菱総合研究所が共同開発を行うビール新商品開発支援システム『醸造匠AI』は、その名の通り、ビールの商品開発に特化したAIです。
ビールの開発では通常、原料の配合バランスや、製造工程などを調整し試作を繰り返すことで目標とする味設計に近づけていきます。本システムでは、これまでの開発レシピや職人による知見を蓄積したデータベースをAIに学習させることで、レシピの条件から中味を予測。商品開発の効率化に成功しました。
また、目標とする中味から原材料や製造工程を逆引きできる「レシピ探索機能」も加わり、これまでにない新規性の高いビールもレシピ化しやすくなりました。
キリンは今後、熟練の技術者によるレシピの開発とAIの力を掛け合わせ、新しいビールを世の中に提案していくとともに、『醸造匠AI』の活用による技術の伝承や働き方改革にも取り組むとのことです。
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【まとめ】商品開発×AIで、企業にもユーザーメリットが!
商品開発にAIを活用することは、人間には生み出せない発想でこれまでにない商品を開発し、商品開発を効率化できるメリットがあります。また、これまで言語化・数値化できなかった職人の技や知見をAIが学習し、分析することで、より具体的・かつわかりやすい技術の伝承も可能になるでしょう。さらには、ユーザーが本当に求めている商品、ユーザーが好む商品を積極的に生み出すことができるようになり、商品を購入するユーザーのメリットにもつながります。AIの導入は、企業にも消費者にも大きな変化を与えるでしょう。